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建設業法の「いろは」

建設工事標準下請契約約款とは?

建設工事の請負契約は、本来、その契約の当事者の合意によって成立するものですが、合意内容に不明確、不正確な点がある場合、その解釈規範としての民法の請負契約の規定も不十分であるため、後日の紛争の原因ともなりかねません。

 

また、建設工事の請負契約を締結する当事者間の力関係が一方的であることにより、契約条件が一方にだけ有利に定められてしまいやすいという、いわゆる請負契約の片務性の問題が生じ、建設業の健全な発展と建設工事の施工の適正化を妨げるおそれもあります。
(以上、国土交通省ホームページから引用)

 

そこで、国土交通省のホームページでは、標準的な建設工事下請契約約款のフォーマットを公開しています。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

 

国土交通省のホームページに記載されている約款は、第一次下請段階における標準的な工事請負契約を念頭において、標準的な約款として作成されています。

 

そのため、個々の契約にあたっては、建設工事の種類、規模等に応じ契約の慣行又は施工の実態からみて必要があるときは、当該条項を削除し、または変更する必要がありますが、その際には、契約における元請負人及び下請負人の対等性の確保、責任範囲その他契約内容の明確化に留意してください。

 

約款をいちから作成することは大変ですし、専門知識も必要となります。
ぜひ、この約款を活用してみましょう。
そして、もしわからないことがあれば、お気軽に弊所までお問合せください。

 

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建設工事紛争審査会とは?①

建設工事の請負契約をめぐるトラブルの解決を図るため、準司法機関として中央(国土交通省本省)と各都道府県に「建設工事紛争審査会」が置かれています。

 

例えば、
・工事に雨漏りなどの欠陥(瑕疵)があるのに補修してくれない
・工事代金を支払ってくれない
といった工事請負契約をめぐる紛争について、専門家により公正・中立な立場に立って、迅速かつ簡便な解決を図ることとして、建設業法に基づいて設置された公的機関です。

 

大まかな流れは、以下の通りです。

 

【問題発生】建設工事の請負契約をめぐる紛争
↓(申請)
【受理】中央審査会(国土交通省本省)または都道府県審査会
※中央審査会:当事者の一方又は国土交通大臣許可の建設業者の場合、当事者の双方が建設業者で許可した都道府県知事が異なる場合
※都道府県審査会:当事者の一方のみが建設業者で都道府県知事許可の場合、当事者の双方が建設業者で許可した都道府県知事が同一の場合など

【審理】委員(弁護士、建築・土木などの技術職員、行政経験者などの一般委員)、申請人、被申請人と「あっせん」、「調停」、「仲裁」のいずれかで審理
※「あっせん」、「調停」、「仲裁」の違いについては別途説明します。

一方、審査会は、民事紛争の解決を行う準司法的機関のため、以下のような行政指導や工事請負契約をめぐる紛争に該当しないものは扱えません。

①建設業者の指導監督
②第三者としての技術的鑑定・評価
③不動産の売買に関する紛争
④専ら設計に関する紛争
⑤工事に伴う近隣者との紛争
⑥直接契約関係にない元請・孫請間の紛争

次回は、「あっせん」、「調停」、「仲裁」の3つの手続きについて説明をします。

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建設工事紛争審査会とは?②

建設工事紛争審査会の手続きは、「あっせん」、「調停」、「仲裁」の3種類となっており、事件の内容、解決の難しさ、緊急性等により、いずれの手続きになるかを選択します。

 

①「あっせん」

法律の委員(弁護士)があっせん委員として、原則として一人で案件を担当します。

 

②「調停」

法律の委員(弁護士)の他に、建築や土木等の技術の専門家、行政経験者など3人の調停委員で案件を担当します。

 

技術的な争点があって図面や工程表を照らしながらの主張がある場合には、「あっせん」よりも「調停」の方が向いています。
また、下請代金不払いの問題なども「調停」の方が審理に向いているようです。

 

「あっせん」と「調停」はあくまでも民法上の和解としての効力となっており、別途公正証書を作成したりして確定判決を得たりしないと強制執行はできません。

 

趣旨としては、当事者の歩み寄りによる解決を目指していますので、ある程度幅をもって和解条件を検討することと互譲の気持ちを持って臨むことが大事です。
なお、一方または双方が互いに譲歩することなく、容易に妥協点が見出せないような場合には、手続きは打ち切られることがあります。

 

③「仲裁」

3人の仲裁委員が双方の主張を聞き、必要な証拠調べや立入調査などを行ったうえで、仲裁判断を下します。

 

また、仲裁手続を利用するには、両当事者が「紛争解決を審査会に委ねる」、「裁判所に訴訟を提起しない」ということについて合意(仲裁合意)をした場合に限られます。

 

解決した場合の効力としては、裁判所の確定判決と同じような効力を持ち、執行決定を得て強制執行ができます。

 

「あっせん」、「調停」とは異なり、裁判に代わる手続きで、一審制となっており、仲裁判断の内容については裁判所でも争えません。
一方で、「仲裁」においても、委員から和解の提案がなされることも多々あり、双方合意の上で和解が図られた例もあるそうです。

 

また、審査会の「仲裁」と裁判の違いは、建築・土木等の専門家が仲裁委員として加わるため、専門性の高い判断を下すことができること、さらに一審制なので三審制で裁判官で構成される裁判と比べ、簡易な手続きで迅速に処理できることがあります。

 

「あっせん」、「調停」、「仲裁」いずれの手続きも原則非公開とされています。

 

さらに、「あっせん」、「調停」、「仲裁」いずれにおいても、訴えの提起による時効中断の効果もあります。

 

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