「行政書士って何をする人なの?どんなことをしているの?」という質問がある一方で、「代書屋さんでしょ?」と言われることがたまにあります。
特に、後者については年配の方がイメージすることが多いようです。
行政書士のルーツを探ってみると、江戸時代の市井の有識者(武士、名主、住職等)によるボランティアの代書・代筆から始まり、明治30年代に全国で代書人取締規則が制定されました。
この規則による代書人の監督官庁は警察(内務省)であり、代書人は警察から許可(鑑札)をもらって営業を行っていたので、「鑑札代書」とも呼ばれていましたそうです。
この規則が行政代書人(行政書士の前身)に関する法律だと言われています。
大正9年には内務省令により(行政)代書人規則が制定され、終戦後の勅令廃止によって代書人法制の空白期間が生じ、その間、明治の代書人取締規則同様に各地で代書人条例が制定されました。
そして、各地で、行政書士法制定運動が高まり、議員立法により昭和26年2月22日に行政書士法が成立、同年3月1日に施行されました。
以上をまとめてみますと、行政書士(行政代書人)制度は、国民の要求によってはじめは条例ができ、その条例が定着してきたことを受けて国が議員立法という形で制定せざるを得なかった制度であること、さらに、行政代書人が文盲社会の中で国民の権利を擁護し、義務の履行を支援したように、現代の行政書士も国民の権利を擁護し、義務の履行に資するために存在していかなければならないことがわかります。
確かに、行政書士はさまざまな許認可の申請書を書いたりしますが、それでは本当に「代書屋さん」で終わってしまいます。
お客様にとっては「忙しいからお金を払ってでも許認可の手続きを代わりに行ってほしい」というのも、行政書士に仕事を依頼する大きな理由かもしれません。
しかし、行政書士は単なる「代書屋さん」ではなく、許認可に係るお客様の事業の将来的なリスクをコンサルティングしたり(=予防法務への貢献)、付帯する業務への情報提供や支援など、「代書屋さん」から一歩踏み込んだ業務を行っていくべきであると考えています。
単なる「代書屋さん」から一歩先の行政書士を目指して、日々精進してまいります!