在留資格(ビザ)、建設業許可の申請を主要業務とする、東京都豊島区駒込駅徒歩3分の行政書士事務所です。

建設業法の「いろは」

「附帯工事」とは?~建設業法第4条~

建設業法第4条では、「建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる」と規定されており、一般的には「附帯工事(ふたいこうじ)」と呼ばれています。。

 

例えば、「建築一式」の建設業許可を持っている元請業者が、古いビルを壊して同敷地内にビルを建設する工事を一体で請け負う場合、発注者は新しいビルを建てることを目的としていますので、解体工事は建設業法第4条に規定する附帯工事と考えます。

 

そもそも、建設工事を請け負う場合には、原則として当該工事の種類ごとに建設業許可を受けておく必要があります。

 

しかし、建設工事の目的物は色々な各種工事の成果が複雑に組み合わされているため、関連する他の建設工事の同時施工を必要とする場合が多々あります。

 

そこで、建設業法第4条では、許可を受けた建設業に係る建設工事以外の建設工事であっても、附帯工事については例外的に請け負うことができるとしているのです。

 

一方、決算変更届や経営事項審査の時に提出する工事経歴書の書き方について、「一件の請負工事として契約した工事を該当する複数の専門業種に分けて完成工事高に計上できますか」という質問を受けますが、上記の考え方同様、原則的に発注者がどの業種の完成を目的として工事を発注したかを考えて工事種類を一業種に一括した金額で工事経歴書に記入しますので、答えは「できません」となります。

 

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書面による契約締結とは?~建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3~

民法上は口頭による契約でも有効とされていますが、建設業法においては、契約は書面で行わなければなりません。

 

具体的には、建設業法第18条、第19条1項、第19条の3に定められています。

 

例えば、
・下請工事に関し、書面による契約を行わなかった。
・下請工事に関し、建設業法第19条1項に必要記載事項を満たしていない契約書面を交わしている。
・元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手し、工事の施工途中または工事終了後に契約書面を相互に交付した(いわゆる契約前着工)。
※ただし、災害時等でやむを得ない場合を除く
といったケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反となります。

 

この契約については、必ずしも「契約書」である必要はなく、基本契約を取り交わしたうえで、個々の工事については「注文書・請書」という形式にしても問題ありません。

 

記載すべき内容は、以下の通りです(建設業法第19条第1項)。

 

①工事内容(○○工事一式というようなあいまいな表現は避けた方がよい)
②請負代金の額
③工期
④前払金や出来高支払金の支払時期、方法
⑤工期や請負代金の変更とそれに伴う損害負担金などの算定方法
⑥天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑦価格変動による請負代金、工事内容の変更
⑧第三者への損害賠償金の負担
⑨発注者が資材提供、機械貸与を行うときの内容、方法
⑩検査と引き渡しの時期
⑪完成後の請負代金の支払い時期、方法
⑫工事の目的物の瑕疵担保責任または当該責任履行に係る保証保険契約の締結
⑬履行遅滞、債務不履行に伴う遅延利息などの損害金
⑭契約に関する紛争の解決方法

 

書面による契約締結は、上記の通り、法律上の義務となっていますが、以下の理由からも書面を確実に残しておく必要があります。

 

・万が一、紛争になった際には「言った言わない」の議論になり、思わぬ不利益を被ることがある。
・経営事項審査の際には、工事経歴書に記載した工事の確認資料として「工事請負契約書」や「注文書・請書」を提出する。これが提出できないと、工事経歴書に記載した工事が完成工事高として認められない。
・新規許可申請や経管の確認資料として提出する必要がある。

 

なお、書面契約に代えて、CI-NET等による電子契約も認められています(建設業法第19条の3)。

 

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見積条件の提示とは?~建設業法第20条3項~

建設業法第20条第3項では、元請業者は下請契約を締結する前に下請契約の具体的な内容を提示し(具体的内容が確定していない事項についてはその旨を明確に示さなければなりません)、その後、下請負人が当該下請工事の見積もりをするために必要な一定期間を設けることを定めています。

 

これは、適正な見積期間を設け、見積落し等の問題が生じないように検討する期間を確保し、請負代金の額の計算、その他請負契約の締結に関する判断を行わせることが必要であることを踏まえているためです。

 

具体的には、
ア 工事1件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上
イ 工事1件の予定価格が500万円以上5,000万円に満たない工事については、10日以上
ウ 工事1件の予定価格が5,000万円以上の工事については、15日以上
となっています(建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第6条)。

 

ただし、やむを得ない事情がある時は、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮することができます。

 

よって、
・元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請負人に見積りを行わせる行為
・元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人が、未回答あるいは曖昧な回答をする行為
は、建設業法上違反となる恐れがあります。

 

また、例えば、元請負人が予定価格が700万円の下請契約を締結する際、見積期間を3日として下請負人に見積りを行わせた場合は、建設業法上違反となります。

 

見積書を提出するのは当たり前でしょ!と思われている方も多いかもしれませんが、建設業法においては見積条件をきちんと提示すること、作業内容を明確にすること、予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが定められていますので、業法違反にならないことはもちろんですが、元請⇔下請の信頼関係をきちんとするためにも、ぜひ守っていただければと思います。

 

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