例えば、東京都知事の建設業許可を持っている場合、許可を持っている本社で、営業、見積り、契約等を行えば、大臣許可でなくても全国の工事を受注できます。
ただし、ここで気を付けなければいけないのが、人のやりくりです。
許可の要件となっている「経営業務の管理責任者(経管)」と「専任技術者(専技)」は、本社に常勤ですので、全国の工事現場に出かけることはできません。
専技については、仮に東京都知事許可を持っている場合、都内の工事であれば現場に出ても認めましょう、というのがギリギリのラインです。
そして、もう一つやっかいなのが、現場に配置する監理技術者や主任技術者です。
現場の配置者は、全国の現場に配置できます。
つまり、許可を取得するために必要な技術者(専技)の確保と、許可を取得した後で現場に配置する技術者(監理等)は、それぞれ別個に考えておかなければならない現実があります。
特に、下請に4,000万円以上発注するとなると、現場の技術者(監理技術者)は専任ですので、他の現場と掛け持ちをすることもできなくなってしまいます。
そうなると、監理技術者の専任が必要となるにも関わらず、1級の資格者が不足し、かつ指導監督的実務経験を有する技術者もいないため、施工体制が組めないということになってしまうのです。
これは「許可は取れても、仕事ができない」という状態です。
つまり、許可を取得するために必要な技術者の確保と、許可を取得した後に現場に配置する技術者の確保は別個に考え、社内体制を整える必要があるのです。