在留資格(ビザ)、建設業許可の申請を主要業務とする、東京都豊島区駒込駅徒歩3分の行政書士事務所です。

永住許可・帰化申請するには?

永住許可と帰化申請はどちらが簡単か?

日本に長年住んでいる外国人がゆくゆくは考えるようになる「永住許可」と「帰化」ですが、そもそも日本国籍を取得するのかしないのかという大きな違いはあるものの、「独立生計要件」や「継続居住年数要件」、「素行善良の要件」など、大まかに要件だけを見てみると似たようなものにもなっています。

 

そうなると、外国人から「どちらが簡単に取れますか?」といった質問や「永住許可より帰化申請の方が簡単だと聞きました」といった意見を聞くことがあります。

 

手続きの面だけで見るのであれば、永住許可の方が簡単だと思います。

 

というのも、必要書類が圧倒的に帰化申請よりも少ないからです。

 

しかし、永住許可申請の場合は、個別の事前相談を必須とはしていませんので、短い時間で書類を揃えて申請を出すことができますが、人によっては要件を満たせておらず不許可になってしまうことも多いようです。

 

一方、帰化申請は、法務局での事前相談が必須となっており、それも申請までに最低2回は相談に行かなくてはいけません。
1回目の相談で、大まかに要件を満たしているか確認をし、満たしていそうであれば必要書類のリストを渡され、2回目の相談の際に必要書類を揃えて持ってくるように伝えられます。
そして、2回目の相談の際に、必要書類が揃っていれば、次回の申請までに記入する書類等を渡されます。

 

つまり、帰化申請の場合には、事前相談の場合にある程度要件審査が行われており、ここでダメと言われなければ、ある程度帰化許可申請は通ると考えられます(ただし、絶対ではありません)。

 

しかし、帰化申請の場合には、国籍証明書や出生証明書、親族の出生証明書や死亡証明書、結婚証明書や離婚証明書等、永住許可申請に比べ、用意しなければならない書類は格段に多くなりますし、申請人(外国人)の本国から取り寄せなければならない書類も多くなります。
また、外国語で書かれた文書については、翻訳もしなければなりません。

 

つまり、結果だけをみると、永住許可よりも帰化の方が許可されているように見えるのですが(おそらく冒頭の外国人の質問も同様の見解からきていると思われます)、そもそも申請のプロセスが異なります。

 

そして、何よりも永住許可はもともとの国籍を失うことなく、日本に長年住み続けることができますが、帰化はもともとの国籍を喪失し、日本国籍になるということです。

 

外国人が日本人になるということは、とても大きな決断です。

 

永住許可と帰化申請どちらが簡単か、という視点で判断することがないようにきちんと決断して欲しいと思うことが常々あり、このような記事を書かせていただきました。

 

 

 

 

 

外国籍に帰化した(元)日本人は二重国籍にはなりませんのでご注意を!

世界には二重国籍を認めている国があり、まっさきに思い浮かべる国と言えばアメリカでしょうか。

 

アメリカにはアメリカ人と国際結婚した日本人、アメリカで出生した日本人、ビジネスや勉強のためにアメリカに渡った日本人等が多くおり、日本とアメリカの二重国籍を持つ方も多いでしょう。

 

確かにアメリカは出生地主義をとっており(対して、日本は血統主義です)、生まれながらにアメリカと日本の二重国籍を持つ方もいますが、二重国籍を認めている国とは言え、注意をしなければならないのが、アメリカの市民権(帰化)を得て、アメリカ国籍になった日本人です。

 

アメリカ国籍になっても、日本で国籍喪失届を提出しなければ、日本の戸籍もそのまま存在するため、二重国籍と勘違いしている方が多くいますが、日本の国籍法第11条(国籍の喪失)では「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」となっており、外国籍を取得時に、当然に日本国籍を喪失するとされています。

 

つまり、帰化により外国籍を取得した場合には、もはや日本国籍はなく、二重国籍となることはありません。

 

「戸籍がそのまま残っている」と主張される方もいますが、帰化したことにより日本国籍は失われていますので、その時点で戸籍も除籍となります。

 

イメージとしては、死亡しても死亡届を提出しなければ戸籍上ではそのまま生きているものとして残っているのと同じです。

 

確かに、国籍法自体には、国籍喪失届の届出を怠ったことによる罰則はありませんが、もし外国籍取得後も、日本のパスポートを使用しようとすれば、すでに無効のパスポートを使用することになり、旅券法違反となり罰則があります。

 

出生時からの二重国籍者と、自己の意思により外国籍を取得(帰化)した者は異なりますので、アメリカ=二重国籍OKと安易に考えないようにしてください。

 

 

 

 

永住許可申請と既存の在留資格との関係について

近年、日本に長期間滞在する外国人が増えており、さらに永住許可の要件が一部緩和された影響からか、永住許可申請に関するお問い合わせが増えています。

 

永住許可の要件には、一般原則と特例がありますが、いずれかの要件を満たしていると思われるときには、いつでも永住許可申請にチャレンジすることができます。

 

また、永住許可申請にチャレンジしたものの、万が一不許可になってしまった場合でも、既存の在留資格には影響を与えませんので、既存の在留期限満了までは引き続き日本に滞在することができますし、在留期間更新許可申請も行うことができます。

 

一方、注意をしなければいけないことがあります。

 

永住許可申請の不許可は、既存の在留資格に影響を与えませんが、永住許可申請をしているからと既存の在留資格の更新等を怠ると永住許可申請の許可不許可以前に日本に滞在することができなくなってしまいます。

 

つまり、永住許可申請と既存の在留資格の関係は「別物」と考える必要があります。

 

例)在留資格「技術・人文知識・国際業務」(有効期限:平成30年4月30日)
永住許可申請:平成30年4月1日

 

上記のようなケースの場合、永住許可申請をしているからと「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の更新を怠ることはできず、まずは平成30年4月30日までに「技術・人文知識・国際業務」の在留期間更新許可申請を行う必要があります。

 

このようなケースでは、在留期間更新許可申請の手続きをしてから永住許可申請をするのが望ましいです。

 

というのも、永住許可の審査は、上記のケースですと「技術・人文知識・国際業務」をベースとして行うため、万が一この更新手続きで「技術・人文知識・国際業務」の許可が得られない場合には永住許可申請もできなくなるためです。

 

 

 

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