在留資格(ビザ)、建設業許可の申請を主要業務とする、東京都豊島区駒込駅徒歩3分の行政書士事務所です。

在留資格(ビザ)について

在留資格の取り消し制度とは?

いったん在留資格を付与されると、その在留資格の有効期限まではずっと有効と考えている外国人や日本人(雇用主や配偶者など)が多いようです。

 

しかし、入管法には「在留資格取り消し制度」というものが定められています(入管法第22条の4)。

 

この「在留資格の取り消し制度」とは、うそや不正な手段で上陸許可の証印等を受けた場合や本来の在留資格に基づく活動を正当な理由なく一定期間していなかった場合などに、当該外国人の在留資格を取り消す制度です。

 

具体的には、入管法第22条の4第1項に規定されており、以下のようになっています。
(入国管理局ホームページより抜粋)

 

① 偽りその他不正の手段により、上陸拒否事由該当性に関する入国審査官の判断を誤らせて上陸許可の証印等を受けた場合
⇒強制退去へ

 

② 偽りその他不正の手段により、本邦で行おうとする活動を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合
例えば、本邦で単純労働を行おうとする者が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行う旨申告した場合などが本号による取消しの対象となります。
⇒強制退去へ

 

③ 申請人が本邦で行おうとする活動以外の事実を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合
例えば、申請人が自身の経歴を偽った場合などが本号による取消しの対象となります。

 

④ ①から③までに該当する以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可の証印等を受けた場合

本号においては、偽りその他不正の手段によることは要件となっておらず、申請者に故意があることは要しません。

 

⑤ 偽りその他不正の手段により、在留特別許可を受けた場合

 

⑥ 入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合

(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)
(注)入管法別表第1の上欄の在留資格
「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」

 

⑦ 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(永住者等の子を除く。)が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)

 

⑧ 上陸の許可又は在留資格の変更許可等により、新たに中長期在留者となった者が、当該許可を受けてから90日以内に、法務大臣に住居地の届出をしない場合(ただし、届出をしないことにつき正当な理由ある場合を除きます。)

 

⑨ 中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合(ただし、届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除きます。)

 

⑩ 中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合

 

③~⑩までに該当するときは、30日を上限として出国のために必要な期間が指定され、当該期間に自主的に出国することになり、自主的に出国しない場合には、退去強制や刑事罰の対象となりますので、注意が必要です。

 

次回は、どのような手続きを経て、在留資格の取り消されるのかをお伝えします。

 

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在留資格取り消し通知が届いたら時間との戦い!

入国管理局が在留資格の取り消しをしようとする場合には、あらかじめ在留資格の取り消し対象となる外国人から入国審査官が意見を聴取することになっています。

 

その際に、当該外国人は、意見の聴取にあたって、意見を述べ、証拠を提出し、または資料の閲覧を求めることができます。

 

しかし、注意しなければならないのは、この機会(聴取)は一回のみ認められていることです。
一発勝負です。
後から追加の書類を提出したり、やり直しを求めることはできません。

 

日本語に自信がないからと、少し日本語ができる当該外国人の友人を通訳として同伴しているケースがたまにありますが(友人だと安心なのでしょう)、十分なコミュニケーションが取れずに(入国審査官の言っていることがよくわからずあいまいに返事をしてしまうなど)強制退去となり、過去には裁判までいって揉めてしまったケースもあります。

 

在留資格の取り消し対象となり、入国審査官に聴取される段階まで来ているのですから、正規の通訳を雇って弁明をするなどの対応が必要です。

 

また、意見の聴取に当たっては代理人を選び、本人に代わって意見の聴取に参加することができるよう求めることもできます。

 

この代理人となれるのは、未成年者の親権者、後見人等の法定代理人のほか、在留資格の取消しの対象者が代理人として委任した弁護士などです。

 

もし、在留資格取消対象者やその代理人が、正当な理由がないにもかかわらず指定された期日に出頭しなかった場合には、意見の聴取を行わないで在留資格が取り消されることがあります。
そのため、病気等のやむを得ない事情により、指定された期日に出頭できない場合にはあらかじめ地方入国管理局に連絡するようにしてください。

 

在留資格取り消し通知が届いたら、とにかく時間との戦いです。
聴取の出頭までに、いかに弁明のための準備ができるかにかかっていると言っても過言ではありません。
もし、突然通知が届いてどうしたらいいのかわからないのであれば、一人で悩んだり勝手に判断したりせずに、弁護士や行政書士といった専門家に相談してください。

 

次回は、在留資格取り消し処分が決定した際の通知等についてお伝えします。

 

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在留資格の取り消し処分が決定したら・・・

仮に、入国管理局の聴聞を経て、在留資格の取り消し処分が決定された場合には、当該外国人の住所に「在留資格取消通知書」を送達、または当該外国人本人に直接交付されます。

 

そして、在留資格を取り消された後の取り扱いは2つに分かれています。

 

①直ちに退去強制の手続きが執られるケース
例)不正手段等の行使について悪質性が高い場合(上陸拒否事由に該当していることを偽った場合や日本での活動内容を偽った場合)

 

②三十日を超えない範囲内で出国するために必要な準備期間(出国猶予期間)が指定され、同期間内に自主的に出国するケース
例)不正手段等の行使について悪質性が高くない場合(申請人が経歴を偽った場合や申請人以外の者が事実と異なる文書等を提出した場合)
在留資格に基づく本来の活動を継続して一定期間行っていない場合
中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合

 

なお、②のケースについては、退去強制処分ではなく、在留期間内に出国する通常の出国として扱われます。

 

また、在留資格を取り消された後は、在留資格の変更や在留期間の更新をすることはできません。
そのため、一度日本を出国してから、再度入国するための手続き(在留資格認定認定証明書交付申請等)を行う必要があります。

 

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