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在留資格(ビザ)について

外国企業の日本での拠点設立①~駐在員事務所~

よくあるご相談の一つに「外国に本社のある(親会社)企業が日本に拠点を作り、営業活動をするためにはどのような在留資格が必要ですか?」というものがあります。

 

一般的に、外国の企業が日本に進出してくる際には、
①駐在員事務所
②日本支店(営業所)
③日本支社(子会社、日本法人)
の3つがありますが、日本で認められる活動範囲や経営に係る裁量などが大きく異なります。
そこで、これから全3回にわけて外国企業を日本で設立する際の特徴と在留資格についてみていきたいと思います。

 

①駐在員事務所について

 

【設置目的】

・外国企業が日本で本格的な営業活動を行うための準備的、補助的行為を実施する拠点として設置

 

【主な活動内容】

・市場調査

・情報収集

・物品の購入

・広告宣伝 など

 

【できないこと】

・直接的営業活動を行うことはできません。
(※つまり、日本国内との取引先企業との契約業務や支払業務はできません)

・原則として、駐在員事務所の名義で、銀行口座を開設することはできません。
(※登記により公的に存在を証明できないため)

・原則として、不動産を賃借することはできませんので、外国企業の本社または駐在員事務所の代表者など個人が代理人として、これらの契約の当事者となります。

 

【設置手続き】

・登記不要(不動産の購入や賃貸借契約により一定の場所を確保して事務所を置けばOK)

・日本で営業活動をしないため、法人税の対象にならず税務署への届けも不要。

 

【注意点】

・例外として外国の銀行、保険会社、証券会社等の金融機関が駐在員事務所を設置するときは金融庁に事前届出が必要。
(※これらは銀行業法、証券取引法などの各業法に定められている規定です)
・海外送金の際に関して制限がないか国際業務に詳しい公認会計士への確認が必要。

 

◆「駐在員事務所」で働く外国人の在留資格について
海外から派遣される外国人や日本で採用される外国人については、以下のような在留資格を検討します。
・「技術・人文知識・国際業務」
・「企業内転勤」
(※ただし、直前の1年間に親会社やその支店等での勤務実績がないと企業内転勤は使えません)

 

また、「駐在員事務所」で代表として働く場合には、
・「経営・管理」
の在留資格を検討することになりますが、登記等により公的に存在を証明することができないため、当該代表者が500万円以上出資していることを証明する資料を添付するなどの対応が必要となります。

 

さらに、在留資格を取得する際のポイントとして、
・「駐在員事務所」が実在し、事務所の形態などから安定的・継続的な業務が可能であること
・登記等の必要はないが、親会社との雇用契約書等色々な書類を準備する
といったようなことが挙げられます。

 

補足)「居住資格」といわれる永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの在留資格については、身分又は地位に基づく資格であり、法的には日本人と同等の扱いとなるため、上記の在留資格に限られることなく就労することが可能です。

 

 

 

 

外国企業の日本での拠点設立②~日本支店(営業所)~

②日本支店(営業所)について

 

【設置目的】

・日本で営業活動を行うため(継続取引)

 

【設置手続き】

・登記必要(親会社と同じ名義)
※登記完了手続きまで、約1ヶ月必要です。
※登記の際には、親会社の宣誓供述書(affidavit)や登記簿等を添付。登録免許税9万円。日本支店代表者印の届出等も行う必要があります。
・資本金は不要です。

 

【注意点】

・支店は、法律上は支店固有の法人格はなく、親会社の法人格に内包される一部分として取り扱われます。したがって、意思決定や責任問題(訴訟等)はすべて親会社に帰属することになります。
・上記の理由から、支店で発生した負債は親会社が負うことになります。
・国内源泉所得のみに課税されますが、親会社の資本金が大きい場合は、日本法人に比べ、法人住民税が高くなります。
・会計は本国との合算で良いですが(その代り手間がかかるため、税理士コストも割高です)、税務申告は必要となります。
・資本金がないため、許認可が必要な業種の場合、許可を取得することができないこともあります。

 

【日本支店(営業所)とするメリット】

・支店の名義で銀行口座を開設可能です。
・支店の名義で不動産の賃貸も可能です。
・資本金不要、定款認証不要のため、設立登記の負担が軽くて済みます。
・会計は本国との合算になるため、仮に日本支店で欠損がでると本国親会社の節税効果があります。

※会計・税務に関しては国際会計に精通した会計士や税理士にご相談することをお勧めします。

 

◆「日本支店(営業所)」で働く外国人の在留資格について

海外から派遣される外国人や日本で採用される外国人については、以下のような在留資格を検討します。
・「技術・人文知識・国際業務」
・「企業内転勤」
(※ただし、直前の1年間に親会社やその支店等での勤務実績がないと企業内転勤は使えません)

 

また、日本支店(営業所)の代表者として働く場合の在留資格としては、
・「経営・管理」
・「技術・人文知識・国際業務」
・「企業内転勤」(要件については上記と同じ)
を検討します。

 

特に、日本における代表者は外国人でもかまいませんが、住所は日本になければいけませんので注意が必要です。
ただし、代表者が2人以上いる場合は、その内の1名の住所が日本にあれば問題ありません。

 

補足)「居住資格」といわれる永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの在留資格については、身分又は地位に基づく資格であり、法的には日本人と同等の扱いとなるため、上記の在留資格に限られることなく就労することが可能です。

 

 

 

 

外国企業の日本での拠点設立③~日本支社(子会社、日本法人)~

③日本支社(子会社、日本法人)について

 

【設置目的】

・日本で営業活動を行うため(継続取引)

 

【設置手続き】

・通常の法人設立手続き(定款認証、資本金の払込等)後、登記を行うことになります。
そのため、資本金や取締役会設置の有無などを決める必要があります。
また、親会社の様々な証明書(設立証明書、宣誓供述書、外国会社代表者サイン証明書等)が必要となり、基本項目の決定後、登記完了まで通常約2ヶ月を要します。

 

【注意点】

・日本支社(子会社、日本法人)は親会社と別個の法人となるので、意思決定や責任問題(訴訟等)は、原則親会社には及びません。※一部例外あり。
・上記の理由から、仮に支社が倒産しても親会社は原則支社の負債を負いません。
・親会社など海外の全所得に課税されます。
・決算公告が必要となります。(通常の会社の決算報告と同様のイメージです)
・通常の会社設立と同様の手続きが必要のため、登記や決算公告など費用と手間がかかります。

 

※会計・税務に関しては国際会計に精通した会計士や税理士にご相談することをお勧めします。

 

【日本支社(子会社、日本法人)とするメリット】

・支社の名義で銀行口座の開設が可能です。
・支社の名義で不動産の賃貸が可能です。
・信用を得られるので、金融機関からの融資等が受けられやすくなります。
・資本金があるため、必要に応じて許認可の取得も可能です。

 

◆「日本支社(子会社、日本法人)」で働く外国人の在留資格について

海外から派遣される外国人や日本で採用される外国人については、以下のような在留資格を検討します。
・「技術・人文知識・国際業務」
・「企業内転勤」
(※ただし、直前の1年間に親会社やその支店等での勤務実績がないと企業内転勤は使えません)

 

また、外国人が日本支社(子会社、日本法人)の代表者として働く場合の在留資格は、
・「経営・管理」
となりますが、代表取締役のうち1名以上は、日本に住所を有している必要があります。

 

さらに、取締役、監査役、部長が外国人の場合の在留資格は、経営管理への関与の度合いにもよりますが、
・「経営・管理」
を取得するのが一般的です。

 

補足)「居住資格」といわれる永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの在留資格については、身分又は地位に基づく資格であり、法的には日本人と同等の扱いとなるため、上記の在留資格に限られることなく就労することが可能です。

 

 

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